兵器よりも景気 兵器よりもケーキ
筑紫 ところで去年の日比谷野音の反核コンサートね、あれにはどういう動機で加わったの。
尾崎 僕は親父が自衛隊だったということもあるんですけど、結構小さいことから五つ年上の兄貴と、
日本が自衛隊を持つことが違憲なのか、そうじゃないのかと話していたんです。それでなくても、今や人類は、
人類を破滅させてしまうだけの威力のある核をもう何千発と抱えているということは、僕にとってすごい脅威です。
だから反核にはすごく興味がある。
僕の願いのなかには、一度で良いから、全人類が微笑む瞬間というのを見てみたいというのがあって、
そうしたら、その瞬間世界は変わるんじゃないかと、そんな気がしているんです。そういった意味で出てみたかったんです
筑紫 お父さんが自衛隊にいることに対しては、批判するわけ?
尾崎 ソ連が攻めてきたら、いったい誰が守るんだというのが親父の思想だと思うんですが、確かにそれもそうだなとか、小さいころ思ってて、
やっぱり立ち向かう力を持っておかなくちゃいけないというのは、今の社会では仕方がないんじゃないかと・・・・・・。
筑紫 あなたの同年配では、そういうことを話題にすること自体があんまりプラスの評価にならないんじゃないかな。
ダサイとか、カッコ悪いとか。
尾崎 ああ。そうですね、みんな核に対して、脅えていることは確かなんですね。だけど、核を、どこの国が何発持っててとか、
その威力がどれくらいあって、東京に落ちたら何人の人間が死ぬんだぞということは、考えたくないみたいです。
そういうことを言っても、うーん、そうなのよね、でも昨日行ったお店のケーキおいしかったわねって、
ケーキのことで頭がいっぱいなんですね。大人にしても、兵器のことをうんぬんするよりも、カネを儲けたい人がいるけど。
筑紫 ただ、核のことを考えても自分じゃどうにもならないんだから、
やっぱり今のケーキのことを考えちゃおうということなのかもしれないですね。
尾崎 僕が中学の時に一度だけ、先生の授業があんまりつまんないんで、クラブをつくって、会報を刷って、
学生運動まがいのことをやろうと思ったことがあったんです。みんな、立ち上がれというような。
だけど、最初に「お菓子食いながらやらない?」というのが良くなかったみたいです。
みんなお菓子のほうに走っちゃって、きょうはどのお菓子を買おうという話にしかならなかった。
筑紫 どうも甘いものは禁物だな(笑)。
尾崎 最初は、先生はどうしてああいう聞き方をするのか、 どうして授業中にああいう話をするのかなということを話したりしたんですけどね。
でも、どうしてなのか、ということにはだれも答えませんでした。あそこが嫌いなのよねという話は出るんですけどね。
どうも違うな、でも時間がたてばもう少しかわってくるかな。そう思ったんですけど、
しばらく話しているうちにお腹すいてきたんで〜土曜日の放課後にやることにしたんですね〜
パンとか買ってきて、食べるうちに、毎週、毎週、放課後残ってパンを食べる、お菓子を食べるというのが習慣になっちゃって、
それだけのためにみんな集まるみたいになっていっちゃた(笑)。
(了)